学科 学年 |
E4 |
科目, 分類 |
通信工学 [通信] Communication Engineering |
講義, |
通年 2単位 |
担 当 |
濱屋 進 HAMAYA Susumu |
【内容と目標】通信工学では複数周波数の信号を使用するので、フーリェ変換を基礎としたスペクトル解析を理解することが重要である。授業では電磁気で習熟した空間ベクトルの考え方を使用するため、任意の周期波形
g(t) を関数空間における一ベクトルとして考え、それを関数空間の直交座標系の
exp(jKω0t) に分解して考察する。また、代表的なアナログ変調方式における変調、復調を非線形回路のスペクトルの相互作用として取り扱う。授業方法としては知識より、発展する科学技術に対処できるような論理的思考育成に重点をおいて授業を進める。
【教科書等】自作プリント、電気回路 喜安善市・斎藤伸自著 朝倉書店 【評価方法】試験成績に、授業への取り組み、積極性を考慮して評価する。 【関連科目】数学,応用数学,回路理論、電子回路 |
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授 業 計 画 |
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第 1週 工学実験で行なう負性抵抗発振器のリミットサイクルの理論的解析
第 2週 複数周波数が存在する場合の回路計算(振動関数 ejωt
とインピーダンス) 第 3週 オイラーの公式と交流回路における複素記号演算の関係
第 4週 関数系
exp(jKω0t) の張る関数空間、内積の定義
第 5週 任意の周期関数
g(t) と 直交関数系 exp(jKω0t)
の内積としてのフーリエ級数 第 6週 任意の周期関数
g(t) のフーリエ級数を求め、スペクトル表示を行なう。
第 7週 任意の周期関数
g(t) のフーリエ級数を求め、スペクトルをさらに理解を深める。 第 8週
前期中間試験 第 9週 フーリエ解析において周期
T→∞ として、フーリエ変換の公式を導く。
第10週 フーリエ変換の例題を行なって、連続スペクトルを理解する。 第11週 逆フーリエ変換の例題を行う。
第12週 デルタ関数のフーリエ変換をし、δ(f-ν)、δ(t-τ)
の意味を理解する。 第13週 振幅変調波(AM)の時間関数を求め、先週の結果を使ってそのスペクトルを導く。 第14週 搬送波と変調信号を非線形回路に入力すれば
AM 波が得られることをスペクトルより導く。 第15週 AM波を非線形回路に入力すれば変調信号が取り出せること(復調)をスペクトルより導く。
第16週 前期末試験 第17週 種々の振幅変調方式、すなわち
DSB,DSBSC,SSB,VSB の特徴を考察する。 第18週 DSBSC
と SSB を第14週の方法で復調し、SSB の方がフェーディングが少ないことを導く。 第19週 位相変調波(PM)の時間関数を求め、ベッセル関数を使ってそのスペクトルを導く。 第20週 変調信号を積分して位相変調器に加えれば周波数変調波(FM)が得られることを導く。
第21週 種々の変調波を想定して、その
AM,PM,FM 波を求める例題を行なう。
第22週 変調指数が小さい場合の
PM 波と DSB を位相子で図示し、その物理的意味を考察する。 第23週 二重平衡変調器(DBM)としてリング変調器を説明し、DSBSC
が得られることを示す。 第24週 後期中間試験 第25週 DBM とπ/2
位相器を使って DSB,DSBSC,SSB,PM,FM の変調を行なう。 第26週 FM と
PM の復調の考察 (周波数弁別器、スロープ検波) 第27週 AM 、FM
受信器の構成(ホモダイン、ヘテロダイン方式) 第28週 周波数変換、パラメトリック効果
第29週 標本化定理の導出と応用 第30週 最終試験
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【備 考】第13週以降は「変調入門、F.R.Connor著 高原幹夫訳、森北出版」、「通信伝送工学、丸林元著、コロナ社」を参考 |