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「高専だより」への学科長の報告から

2007年2月8日

来る3月に発行される沼津高専の「高専だより」に掲載される学科長の報告について,
その要点をウエブでも紹介します

平成18年度総評(電気電子工学科報告)

電気電子工学科長 高橋儀男

5年生および専攻科2年生の進路先の報告
  本科、専攻科ともに全員進路先が決定しています。
  本科は、40名中、専攻科への進学4名を含め20名が進学、20名就職です。今年も、ここ十数年の傾向と同様、就職、進学が約半々でした。電気電子工学科所属の専攻科生は3名とも就職でした。(就職、進学の具体的な進路先は別表に示します。)
  就職は、募集のあった会社数は500社(このうち140数社は直接電気電子工学科を訪問)を超えていました。数年前までに比べ、2倍以上の求人数です。本科就職希望者は20名ですので、倍率は25倍を超えていています。そして、本科は、5月末には19名の学生の就職先がほとんど第一希望で決定していました。あらためて、企業の高専卒業生への評価の高さ、実践的技術者への期待感を感じました。
  進学についても、20名中19名の進学先が決定しており、1名が複数校合格しているのですがまだ進学先を決めかねています。なお、受験者の多くは複数校に合格をしていて、その中から希望の大学を選んでいます。


電気電子工学科のニュース
◆新任教員
この3月1日付けで若い先生(30歳)が着任することになりました。専門は画像処理で、電気電子に情報処理に詳しい先生がまた加わったことになります。昨年4月から着任された新任の佐藤、大澤両教員もすでに本校に来て1年近くたち、本校、本学科に慣れてきたようで、また、学生にも信頼されているようです。

◆インターンシップ
 インターンシップ(学外実習)は、企業の生産現場における研究、開発、生産活動を学生が直接認識、体験するもので、本校においても積極的に参加を勧めています。対象は主に4年生で、今年度の電気電子の4年生は10名(従来は4,5名)が希望し、滋賀の工場で研修を行った1名以外は、主に自宅から通勤可能な県内の企業でした。参加した学生には貴重な就業体験となり、勉学の意義や企業で働くことの実態を理解できたことと思われます。9月には、報告会がクラスで行われました。大変有意義な制度ですので、企業の協力を得て今後もこの制度の利用を積極的に進めていきます。

◆PBL手法による実験実施
 前号に、従来のE4の前期実験をPBL(Problem Based Learning)の手法に改変していると報告しましたが、ここでその結果を述べます。実験内容は、各班AMの送受信機を作成するということになり、それぞれの班が工夫をして回路を設計し、部品の購入、半田ごてを使って回路の製作をし、かなり苦労をした班もあったようですがどの班も回路が完成することができました。その結果の発表会を9月に行いましたが、この発表も教育目的の一つです。PBLの手法による教育は、初めての試みでしたが、ほぼその目的を達したと思っています。実際に行ってみて分かった反省点を踏まえ、来年度も積極的に実施する予定です。

◆二種主任技術者の認定校について
 電気系の資格として電気主任技術者という資格(第一種、二種、三種の種別)があります。これは工場など電気設備のある施設の運営に必須なものであり、価値ある資格です。しかし、二種主任技術者に対する試験の合格率は10%以下という難関です。これに対して「認定校」という制度があり、教育課程や設備に対して一定の基準を満たしていいることが認められた学科において、必要な単位を取得した卒業者は5年の実務経験により第二種の資格を認定されるという特典があります。
  最近認定校になるための条件が緩和され、本学科においてはカリキュラムのわずかな変更で認定校になれることが分かりました。そこで、現在認定校となるための準備を行っているところです。もし、来年度中に再認定されれば、電気電子の今の三年生からが認定対象となります。

  現在は認定校ではないため、この資格を得るためには試験に合格しなければなりません。そこで、8月下旬に行われる試験に向けて、今年度の7月下旬に4年生の10名弱の希望の学生に対し、三種の「理論」の勉強会を4日間開きました。(二種の試験は4年生ではまだ厳しい)
  勉強会の参加者で受験をした学生は、全員「理論」に合格しました。資格取得のためには、それ以外にも「法規」など合計4つの科目に合格する必要があり、そのような学生は今年度いませんでしたが、電気系科目の基礎学力を確認するためにも三種主任技術者試験を受験することを学生に勧めます。

(本学科は昭和62年までは第二種の認定校でした。しかし、時代の変遷に対応してカリキュラムを改訂してきたところ、認定校に必要な科目の開講が困難となり、その資格を昭和63年に返上したのでした。しかし、本文に書いたように、認定校になるための条件が緩和されたため、第二種の認定と本学科の教育が両立できると判断し、再申請することにした次第です)

資料
◆就職
【 電気 系 】IBM、東芝、パナソニックITS、ソニーEMCS浜松テック、パナソニックEVエナジー(専)
【 機械 系 】小糸製作所×2、関東自動車×2、矢崎総業×3(専1)、ホンダ(専)
【社会基盤】日本タバコ産業、JR東海、東京電力、中部電力、中部保安協会、NTTファシリティーズ
【 そ の 他 】中外製薬、第一ファルマテック、花王、大和ハウス

注:「専」とは,電気電子系を主に学んだ専攻科生のことです。

◆進学
【  専  攻  科  】 沼津高専専攻科×5(推薦4)
【技術科学大学】長岡技大×2(推薦2)、豊橋技大×4(推薦1)
【 国 立 大 学 】筑波大、富山大、静大×2(推薦2)、名大×2、奈良女子大(推薦)、京大
【 私 立 大 学 】立命館大(推薦)

注:ここで示した「専攻科」と「技術科学大学」は,ともに国立です。

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